1-人間の尊厳と自立

人間の尊厳と自立

問題1-1(30回問題1/人間の尊厳と自立)
1960年代後半からアメリカで展開した自立生活運動に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。

1 障害者自身の選択による自己決定の尊重を主張している。
2 障害者の自立生活は、施設や病院で実現されるとしている。
3 「ゆりかごから墓場まで」の実現に向けた制度設計を目指している。
4 障害者が機能回復を図ることを「自立」としている。
5 介護者を生活の主体者としてとらえている。

問題1-1解答を表示する

〇1 適切である。
-2 施設や病院ではなく、住んでいる地域社会のなかでの自立生活の実現を提唱した。
-3 問題文はイギリスにおける第二次世界大戦後の社会福祉政策の説明である。
-4 障害者自身の選択に基づく自己決定こそが自立であるとした。
-5 介護者ではなく、障害者自身を主体者としてとらえた。

問題1-2(29回問題1/人間の尊厳と自立)
Aさん(78歳、女性)は介護老人福祉施設で生活している。脳血管障害(cerebrovascular disorder)による左片麻痺で、杖を使って歩行し、自力で移動していた。Aさんは、廊下や食堂でいつも職員やほかの利用者に声をかけ、誰にでも気遣う人だった。ある日、食堂のいすに足が触れて転倒して、捻挫の痛みで歩くことができなくなり、車いすの移動になった。捻挫は1週間ほどで完治したが、Aさんは歩くことを拒み、現在でも車いすでの移動を続けている。Aさんは徐々に口数も少なくなり、「歩くことが不安だ。周りに迷惑をかけてしまう」と言い、何に対しても消極的な様子が見られた。
Aさんに対する介護福祉職の関わりとして、最も適切なものを1つ選びなさい。

1 Aさんは口数が少ない様子なので、できるだけ話しかけないように心がける。
2 Aさんの自立を考えて、再び歩くことができるように何度も声をかける。
3 仲の良い利用者に、頑張って歩くように励ましてもらう。
4 Aさんの担当の介護福祉職に、再び歩くように説得してもらう。
5 食堂のテーブルやいすの配置を見直して、一緒に歩いてみようと働きかける。

問題1-2解答を表示する

-1 誰にでも気遣う人だから問題文のような訴えにつながっているのではないかというアセスメントに基づくならば、このような対応をする根拠はない。むしろAさんの不安や遠慮への積極的な対応が求められる。

-2 「歩くことができるように」と何度も声をかけることは根拠がなく、Aさんに歩行を無理強いするおそれがある。

-3 介護福祉士がこのような励ましをするよう仲の良い利用者に依頼するのは、前項2と同様、根拠のない励ましに過ぎない。

-4 Aさんの担当か否かに関わらず、説得することも、Aさんに歩くことを無理強いするおそれが強い。事故の再発を招くおそれもある。

〇5 最も適切である。もともとの転倒の原因を解消し、事故の再発を防止した上で、Aさんにこのような対応をすることは、根拠のある励ましである。不安や遠慮を抱えているAさんに介護福祉職が同伴することを申し出るのは、Aさんにとって真の励みとなる。

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