お金はたくさんあれば安心なのか

親なきあと

障害のある子がいる親御さんの多くは、親なきあとも子どもが安心して生活していくためには、どのくらいお金を残せばいいのだろう、という不安をかかえているのではないかと思います。私も個別相談や講演会などで、よくこの質問を受けます。

そういったときに、私はこのようにお答えしています。
「お金は必要以上に残さなくても大丈夫。それよりも準備してほしいことがあります」準備してほしいのは“残したお金が本人の生活のために使われる仕組み”のことです。

障害者は状況にもよりますが、さまざまな場面で福祉の支援を受けており、最低限の生活はできるような社会保障がなされています。もちろん、より豊かな生活を楽しむためには不十分なものですが、子どもに一生涯かかるお金を、親がすべて工面しておかなければいけない、といった状況ではありません。
逆に、資産を持っていることによって、子どもに浪費癖がついて、かえって借金してしまう、あるいはだましとられてしまうなどのリスクをかかえることもあり得ます。そういったリスクを防ぐことのほうが、より重要なのです。

知的障害のある40代の男性が、数ヵ月間にわたって客引きに何度もバーなどの飲食店に連れていかれ、働いて貯めていた約1,500万円がなくなってしまった、という事件が報道されました。お金があったとしても、それが安全に管理され、本人の生活に使われなければ意味がありません。

引用/障害のある子の「親なきあと」 著者/渡辺 伸

Posted by disability-support-info