統合失調症とは

統合失調症とは, 統合失調症意味

障害の理解

統合失調症とは、妄想や幻覚など多様な症状を示す精神疾患のひとつです。その原因については諸説あり、回復の過程もさまざまです。発症年齢は思春期後期から20歳代前半までの若年層に多く、30歳代以降は初発患者が少なくなってきます。
統合失調症の人は人格、感情、思考、対人関係などに障害がみられます。幻覚や妄想に苦しみ、場合によっては薬の副作用による悪性症候群から危機的状況に陥る場合があります。治療により症状を軽くすることはできますが、社会的な活動を再開するまでには時間がかかります。統合失調症の主な症状は次の通りです。

<統合失調症の主な症状>
陽性症状
幻覚、妄想、支離滅裂な言動、激しい興奮、強いイライラなど。

陰性症状
物事に関心を示さない、感情に変化がなくなる、意欲がなくなる、表情がなくなるなど。

認知機能の低下
知能や記憶能力の低下、課題を達成する実行能力の低下、感覚情報の処理障害として知覚が過敏または鈍くなるなど。

統合失調症では大きく分けて4つの経過をたどります。
1.前兆期…情緒不安定になる、抑うつ感、不眠など。
2.急性期…強い不安や恐怖、妄想、異常な言動。(陽性症状)
3.回復期…感情の起伏が乏しくなる、意欲や注意力の低下。(陽性症状)
4.安定期…症状がほとんどみられなくなる。

治療方法は、薬物療法とリハビリテーションが中心となります。
薬物療法…興奮を静める抗精神病薬などを長期間服用する。幻覚や妄想があり、不安や焦燥感の強い急性期には特に有効とされる。
リハビリテーション…レクリエーション、作業療法、社会生活技能訓練(SST)など。

利用者はこのほかに次のような精神療法を受けていることがあります。
芸術療法…人物や風景を描いたり、合唱や楽器演奏などの表現活動や創作活動を通じて行われる。
集団療法…同じ悩みを持つ人たちが集まり、話し合うことを通じて症状の改善を目指す。

治療によっていったんは症状が治まっても、生活上の変化などをきっかけに約9割の人に再発がみられます。

生活面の理解

人が豊かな対人関係を保ち、ゆとりのある社会生活を続けていくためには、コミュニケーションは非常に重要です。しかし、統合失調症の利用者は、日常生活は営めても、不安の高まりや認知機能の低下など症状の出現により人間関係が阻害されることが多くあります。このため利用者は自分の殻に閉じこもり、活動に対する意欲を失うことがあります。
また、統合失調症の利用者が回復するためには休息が重要です。介護職員はまずこのことを理解します。家の中でぼんやりと過ごしていたとしても、それが本人にとっては大切な休息であることを理解し、支援することが大切です。

<統合失調症の利用者の行動を理解する>
部屋にひきこもっているとき…周囲に対して強い不安と警戒心を抱いている。
ウロウロする、立ったり座ったりを繰り返して落ち着きがない…何かせっぱ詰まった気持ちになり、自分を守るためにこうした行動をとっている。
利用者に病気の自覚(病識)がなく、幻覚や妄想がみられる…利用者が混乱し、不安や恐怖にさいなまれていることを理解して受け止める。


Posted by disability-support-info