高感度白杖 広がる世界 先端を改良 金沢・支援学校教員が発案

白杖(はくじょう)を突いた際に周囲の状況がより分かるように、先端部「石突(いしづき)」の感度を高めた改良品づくりが進められている。三年かけ、できあがった試作品は、不必要な振動を吸収する合成ゴムを摩擦に強いプラスチックで覆ったひょうたん形。「手に伝わる振動や音が分かりやすい」などと目の不自由な人に好評だ。石突は消耗品なので、耐久性を高めるとともに、簡単に交換できるようにもした。来春の発売を目指している。

■摩擦に強く

発案したのは、金沢大付属特別支援学校教員の吉岡学さん(50)。全盲の人らが道路を歩く際、白杖を突いたり、石突を路面に滑らせたりする。「石突の生命線は路面から得る情報。視覚障害者は手先の感覚が鋭いから、より丁寧に状況を伝えられたら」

約三年前、学校教材などを扱う商社「中部工営」(富山県高岡市)の早苗貴史さん(36)に相談したところ、精密機械部品製造の「中山電材」(富山市)を紹介された。中山和博社長(56)は当初、「白杖を作った経験がなく、どう設計したらよいのか」と思ったが、「困っている人のために専門知識と技術を役立てたい」と応じた。

できあがった試作品は直径三・四センチ、重さ十八グラム。使ってみた吉岡さんの母、英子さん(75)は「六十歳を過ぎて失明し、白杖は体の一部。試作品は手に響く感覚が分かりやすい。すごく音も聞きやすい」と喜ぶ。

感度だけでなく、子どもの力でも簡単に交換できるように工夫した。吉岡さんが発案した最初のきっかけは、特別支援学校の歩行練習で、石突がすぐにすり減ったから。通勤や通学で白杖を使うと、使い方によっては数カ月で、石突がすり減る。穴や隙間にはまって壊れた場合にも、交換が必要になる。

■交換も簡単

交換には加熱や、相当な力が必要で、ほとんどの人が専門の業者に依頼する。小学生の時から白杖を使う金沢市の田村正樹さん(37)は「自分で換えられたら、とても便利」と話す。
白杖本体のシャフトに、石突を強く押し込む形式が一般的だが、改良した石突はパーツごとに順番に取り付けられる。交換の際、加熱も強い力も必要ない。現在、市販されているシャフトにもサイズが合えば、取り付け可能だ。

吉岡さんは「視覚障害のある人がもっと外に出られるようになれば」と期待する。販売価格は五百円前後を検討中だ。問い合わせは金沢大=電076(263)5551=へ。

視覚障害者 厚生労働省によると、身体障害者手帳を持つ視覚障害者は全国に約33万8000人いる(2016年度末現在)。石川県は約2500人、富山県は約3000人。1~6級があり、都道府県、政令市、中核市の首長が認定する。道交法は「目が見えない者(準ずる者を含む)」が道路を歩く際、白か黄色のつえを持つか、盲導犬を連れることを義務付けている。



ソース元/gooニュースより

Posted by disability-support-info